組織おける対話

 社内に良い雰囲気を作り、取引先との関係を密にし、企業の活動を円滑に進めていく上で必要なのがコミュニケーション。
近年、社内におけるコミュニケーションの重要性は増すばかりです。
 このコミュニケーションを活発にさせるために注目を集めているが「対話」。
 その効果と実用についてまとめていきましょう。


 1 対話の効果とは
  1.1 信頼関係の形成
  1.2 モチベーションの向上
  1.3 挑戦を生む環境づくり
 2 組織における対話で注意すべきポイント
  2.1 価値観の押し付け
  2.2 共感がなく心の距離を感じさせる
  2.3 相手を変えようとする
  2.4 見ている世界が違う
 3 組織における対話のポイント

対話の効果とは

 社内での対話が活発になることで得られるメリットは
・信頼関係の形成
・モチベーション向上
・挑戦を生む環境づくり
などです。

信頼関係の形成

 自己開示と共に相手をより深く理解しようと相手と言葉を交わし、相互理解を深める対話。
 互いに理解があるので、助けるべきこと、自分が依頼するべきことなど仕事のキャッチボールがスムーズに進み、ここから互いへの信頼が積み上げられていきます。仕事での細かな食い違いの多くは、互いの理解不足からくるもので、相互理解が深まることで仕事の効率化、成果の向上も期待できます。

モチベーションの向上

 対話が活発な環境では、前述のように仕事の効率化、成果の向上が目に見える結果として得られやすくなります。
 目の前が見えない不安は仕事への意欲を奪いますが、周囲との対話を重ねることが、自分が持っているイメージや行動の方向性が見える化になり、受験勉強などと同様に頑張る先が見えるということです。対話により見えてきたものですから、周囲との情報共有も同時に行われ、団結もしやすくなります。
 チーム、同部署内に限らず、他の部署、取引先との対話も積極的になることで、より大きな成果への見通しもつき、自然とモチベーションが向上しやすい状況を作ることができます。

挑戦を生む環境づくり

 相互理解による信頼関係の構築はモチベーションの向上に働くだけでなく、自分から何かをやってみる、やっていく、といった自発的な行動も生み出します。
 これには2つの理由が。一つ目は、相互理解により、関わるメンバーの得意・不得意、見落としやすい箇所、期待できる成果などが把握できます。このため、自分が何をサポートすれば良いか、自分が何をやっておけば良いか、という行動プロセスの切り口をメンバー個々が見つけやすくなるため、指示を得る前に動くことができるようになります。
 そして、もう一つが、理解されている安心感。対話により構築された信頼感から来るものですが、自分を理解し受け入れてもらえる環境にある、という安心感が、失敗してもみんなが理解してくれている、サポートしてくれる、という自信となり、チャレンジしやすい心の状態に導きます。

組織における対話で注意すべきポイント

 良くない対話として下記が挙げられます。
・価値観の押し付け
・相手を変えようとする
・共感がなく心の距離を感じさせる
・見ている世界が違う
これらについて、それぞれ見ていきましょう。

価値観の押し付け

 社員の目指すものと会社が同じとは限りません。むしろ違うものと見た方が良いでしょう。これは上司・部下、取引先とも同じです。対話は互いの個性・特性・価値観の違いを受け入れることから始まります。受け入れ難い価値観もあるでしょうが、「なるほど、そういう考え方(見方)もあるのか。」と新たな発見として、まずはお互いの価値観を受け入れるところから初めて見ましょう。

共感がなく心の距離を感じさせる

 人間は共感の動物とも言えます。同じことに心を動かした相手に親近感を持ち、相手への興味を持つようになります。親近感を感じられない相手から、自分のことを聞かれたりするのは不快感を持つのは当たり前。
 ここで相手の言葉を否定するような言い方をすると一気に心の距離が離れます。自分のことを開示しながら、相手が返してくる話を、まずは受け入れ、その先を質問していくと良いでしょう。対話の初期では、自分の情報と相手の情報が半々くらいのバランスを目指し、相手との共通事項を探りながら、相手と共に笑えるもの、考えられるもの、などを見ていきましょう。

相手を変えようとする

 実績のある人ほどやってしまいがちですが、相手の長所・短所を見て、短所を直そうとしたり、自分のやり方に相手を合わせようとするのは危険です。「人は変えられない」を念頭において、まず、相手をそのままで受け入れることが大切です。組織には役割分担があるように、それぞれに個性・特性を発揮するに必要なものがあります。これが同じような考え、同じような人間ばかりとなってしまうと組織として機能しなくなります。

見ている世界が違う

 互いに見ている世界観が違いすぎると、話、行動、結果に向けての意識、様々なもので「温度感」を合わせることができません。会社内ではどうしても部署により、立場により目を向けている世界が違うことが生じます。見ている世界観が違いすぎる場合は、互いの夢、世界観を語り合う対話に切り替え、まずは互いが応援者となる方向で共感できるものを作りましょう。

組織における対話のポイント

 コミュニケーションを円滑にし、活気ある組織にするための対話のポイントは下記の3つ。
・相手に関心を持っているか?
・相手の求めるものは何か?
・相手が会社に期待することは何か?

 相手の関心はどこにあり、求めているもの、そして会社・組織に期待することは何か?を互いに見つけ合おうとする姿勢です。このために必要な対話のルールとして、まずは聞く。「自分は◯◯と思うけど、あなたはどう思う?」など、自分を開示しながら、相手に言葉を発するためのボールを投げ続けることです。相手の言葉を止めてしまうドッジボールのような対話にならないように注意も必要です。
 言葉のキャッチボールが、仕事のキャッチボールとなり、組織一丸となってホームランが放てる日が近く来るかもしれません。