リモートワークのマネジメント
コロナ禍よる緊急事態宣言の影響から、多くの企業がリモートワークの導入を急ぎ進めました。
先の見えない状況から早々にリモートワークを切り上げ、社員の出社を再開させた企業も多くありました。
反面、リモートワークでも実績を安定させ、地代の高いオフィスを解約・縮小化させ、収益と経費削減の向上の二兎を得た企業もあり、リモートワークの明暗を分けました。
今回は中小企業におけるリモートワークのマネジメントについて「リモートワークが抱える3つの不安」にポイントに絞って迫っていきます。
2 仕事の成果への不安
3 情報・機密事項の管理
4 コミュニケーション不全による情報共有の不足
5 中小企業がリモートワークを導入する上でのポイント
5.1 導入手順を整理する
5.2 一人の抱え込み仕事を見直す
5.3 仕事とは別の交流の機会を企画する
リモートワークが抱える3つの不安とは
中小企業がリモートワークに抱える不安は主に下記の3つです。
・仕事の成果への不安
・情報・機密事項の管理
・コミュニケーション不全による情報共有の不足
仕事の成果への不安
出社による勤務では、社員個々の活動の様子が目で、耳で、空気感で感じることができるため、実際の仕事の成果物よりも、取り組みを仕事として評価されるケースも少なくありません。
これがリモートワークになると、終業時間内に従業員がきちんとデスクに向かっているのか?仕事をしているのか?という不安にリーダーや経営者は襲われます。「誰かが見ていないとサボる」という感覚が根付いている管理者が多いのでしょう。
情報・機密事項の管理
中書企業におけるリモートワークの大きな障壁の一つが情報管理。
多くの中小企業ではデスクトップ型パソコンを利用しています。情報を蓄積するサーバも有線のものが多いのも特徴。顧客情報を始め、社内の機密事項などが社内の様々なところにバラバラに管理されています。
大企業では情報をクラウドで管理し、権限と責任の範囲を決めて、アクセス状況や社内イントラのリモートワーク活用で情報管理と労務管理とを行っているケースもあります。
しかし、社員個々人のPC環境、インターネット環境に依存度の高い中小企業では大掛かりなシステムの導入も難しいことが多いのが事実。どこまでの作業内容をリモートでやらせて良いかの判断で悩むリーダー、経営者は増えるばかりです。
コミュニケーション不全による情報共有の不足
日本の企業の特徴になりますが、いくつかのデスクを並べて島を作って作業をするレイアウトが多く、社員が互いの顔を見て、電話する様子を感じて仕事に取り組んでいます。これにより、多くの従業員が仕事の合間に軽い談話をしたり、他の人の電話の様子から仕事の状況を知ったり、表情から感情を察して共感したり、助けたり、抜けや漏れをその場で注意しあったり、、、。同じ空間で、音・空気・表情といった言語外の情報を共有することでコミュニケーションを築くのが当たり前とされていました。
これが、リモートワークとなると、顔も音も気配も確認できず、会話をしても、報告事項の共有をしても実際に顔を合わせている時のような安心感を持つことが難しくなります。
中小企業がリモートワークを導入する上でのポイント
・導入手順を整理する
・一人の抱え込み仕事を見直す
・仕事とは別の交流の機会を企画する
導入手順を整理する
中小企業でリモートワークを導入・運用する上で進める手順が重要になります。簡単にまとめると下記の流れになります。
・業務の棚卸し
・業務の分類
・設備の確認と補強
・業務と共有のルールの策定
・試用と問題点・改善点の抽出
・制度化
特に中小企業では従業員一人一人の担当する業務内容が多岐に渡るため、最初の業務の棚卸しが最も時間のかかる作業になります。
しかし、全てを棚卸しすることで、重複業務、惰性で続けていた業務などを整理し効率化も進みますのでとても重要な作業です。
棚卸しした業務をリモートワークできるもの、そうでないものに分類し、必要な設備確認と続けば、リモートワークを始める準備の多くが揃います。ここからはトライアンドエラーで改善を図り、定番化させるものを制度として形を残していきます。
一人の抱え込み仕事を見直す
メンバー全員が協力しているようで、実は個々人に仕事を抱え込みやすい中小企業。リモートワークでは、この抱え込み作業が多くなると全体のパフォーマンス向上に影響するだけでなく、従業員の孤立化やコミュニケーション不全を起こします。
共同作業や相互評価を取り入れて、従業員を一人にさせない仕組みが必要になります。この一人にさせない仕組みは労務管理の上でも大切な役割を持っており、従業員が仕事をしている様子も報告や進捗の共有で確認することが易くなります。
仕事とは別の交流の機会を企画する
リモートワークでの従業員同士のやりとりは音声や画像があっても、必要事項のみの簡素なもので終えてしまうことも多くなります。
その分、仕事の効率は高くなるかもしれませんが、従業員間の相互理解の機会は少なくなりコミュニケーション不全の恐れも。オンラインで可能な部活やコミュニティを作ったり、飲み会やランチ会などを業務時間内に取り入れることを考えてみても良いでしょう。仕事から離れたやりとりの中で互いの意外な一面を知り、他の部門との交流から業務の横の連携も築き易くなっていきます。
中小企業でのリモートワークの運用では、導入手順の整理、複数人で仕事に携わる仕組み、従業員同士の交流の機会によって、多くの不安が解消されます。
新たな制度導入への取り組みは非生産部門社員にもクリエイティブな時間を共有できるため社内コミュニケーションの新たな構築にも一役買うことでしょう。